明 細 書
発明の名称 : 投稿情報信頼度判定装置、投稿情報信頼度判定方法、及び投稿情報信頼度判定プログラム
技術分野
[0001]
開示の技術は、投稿情報信頼度判定装置、投稿情報信頼度判定方法、及び投稿情報信頼度判定プログラムに関する。
背景技術
[0002]
近年バリアフリーが推進される中で、高齢者や車椅子など、通行可能な経路の条件(以下、経路条件)が健常者と異なるような利用者に対しても、適切な経路探索を行なうため、経路のアクセシビリティ情報を収集する取り組みが行なわれている。
[0003]
例えば、特開2017-102279に記載の地図情報調査支援装置では、調査員が移動しながら地図上の地物、経路について調査を行なった調査結果を、地理ネットワークに紐づけて記録可能にすることで、地図情報調査を支援する。
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0004]
地図情報調査支援において、調査を実施する情報投稿者(以下、投稿者と称する)は、アクセシビリティ情報にあまり詳しくないボランティアの場合があり、投稿者による投稿情報の信頼度が必ず高いわけではない。
[0005]
そこで、投稿情報を、ユーザが経路探索等で利用するアクセシビリティ情報として登録するためには、投稿情報に対して信頼度を判定した上で、信頼度の高い情報を登録することが必要になる(図20参照)。
[0006]
投稿情報の信頼性を確認する方法として、人が現地に行く方法があるが、膨大な時間がかかる。
[0007]
また、ユーザ同士の他の投稿への評価情報を用いる方法(山本浩二,片上大輔,新田克己,相場亮,桑田仁,“地図上の情報推薦システムにおける投稿情報の信頼度”,人工知能学会論文誌21巻3号,2006)がある。これによって信頼性を判定する場合には、各投稿情報に対して評価投稿が行われている必要がある。しかし、評価投稿が行われていない投稿情報に対して信頼度の判定を行うことが困難である。
[0008]
開示の技術は、上記の点に鑑みてなされたものであり、簡易に、地理ネットワーク上のリンクの通行に関する投稿情報の信頼度を判定することができる投稿情報信頼度判定装置、投稿情報信頼度判定方法、及び投稿情報信頼度判定プログラムを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0009]
本開示の第1態様は、投稿情報信頼度判定装置であって、地理ネットワーク上の地点間を結ぶリンクについての通行に関する情報を含む投稿情報の入力を受け付ける入力部と、前記地理ネットワーク上の各リンクについて予め求められた、前記リンクを通行したときの移動実績から得られる移動特徴と、前記投稿情報から得られる移動特徴とを比較して、前記投稿情報の信頼度を判定する投稿情報信頼度判定部と、を含む。
[0010]
本開示の第2態様は、投稿情報信頼度判定方法であって、入力部が、地理ネットワーク上の地点間を結ぶリンクについての通行に関する情報を含む投稿情報の入力を受け付け、投稿情報信頼度判定部が、前記地理ネットワーク上の各リンクについて予め求められた、前記リンクを通行したときの移動実績から得られる移動特徴と、前記投稿情報から得られる移動特徴とを比較して、前記投稿情報の信頼度を判定する。
[0011]
本開示の第3態様は、投稿情報信頼度判定プログラムであって、地理ネットワーク上の地点間を結ぶリンクについての通行に関する情報を含む投稿情報の入力を受け付け、前記地理ネットワーク上の各リンクについて予め求められた、前記リンクを通行したときの移動実績から得られる移動特徴と、前記投稿情報から得られる移動特徴とを比較して、前記投稿情報の信頼度を判定する、処理をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
発明の効果
[0012]
開示の技術によれば、簡易に、リンクの通行に関する投稿情報の信頼度を判定することができる。
図面の簡単な説明
[0013]
[図1] 投稿情報の信頼度を判定する方法を説明するための図である。
[図2] 経路条件毎の移動可否及び移動速度の一例を示す図である。
[図3] 本実施形態の投稿情報信頼度判定装置として機能するコンピュータの一例の概略ブロック図である。
[図4] 本実施形態の投稿情報信頼度判定装置の一例の構成を示すブロック図である
[図5] 移動手段の設定画面の一例を示す図である。
[図6] 移動手段リストの一例を示す図である。
[図7] 移動実績データベースの一例を示す図である。
[図8] 移動軌跡を、地理ネットワーク上のリンク及びノードにマップマッチングした結果を示す図である。
[図9] アクセシビリティ情報データベースの一例を示す図である。
[図10] 移動コストデータベースの一例を示す図である。
[図11] 移動特徴データベースの一例を示す図である。
[図12] 投稿情報データベースの一例を示す図である。
[図13] リンクに紐づけられた投稿情報の一例を示す図である。
[図14] リンクに紐づけられた投稿情報及びリンクの移動実績の一例を示す図である。
[図15] 投稿情報に該当する経路情報の移動可否及び移動速度を求める方法を説明するための図である。
[図16] 移動可否による信頼度を算出する方法を説明するための図である。
[図17] 信頼できる投稿情報に基づいてアクセシビリティ情報を登録することを説明するための図である。
[図18] 本実施形態の投稿情報信頼度判定装置における移動実績収集処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
[図19] 本実施形態の投稿情報信頼度判定装置における投稿情報信頼度判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
[図20] 投稿情報を、ユーザが経路探索等で利用するアクセシビリティ情報として登録するために、投稿情報の信頼度を判定することを説明するための図である。
発明を実施するための形態
[0014]
以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[0015]
<本実施形態の概要>
本実施形態では、地図調査支援装置により投稿された、通行に関する情報を含む投稿情報について信頼度を判定する際に、ユーザの移動軌跡に基づく移動実績を用いて信頼度の判定を行う。
[0016]
このとき、ユーザの移動軌跡に基づく移動実績から得られる移動特徴を、投稿情報から推定される移動特徴と比較することで投稿情報の信頼性を判定する。
[0017]
具体的には、図1、図2に示すように、リンクKについての投稿情報から抽出される経路条件を通行する際の、ユーザの移動特徴(移動可否、移動速度)と、リンクKを通行する際のユーザの実際の移動特徴(移動可否、移動速度)とを比較することで、投稿情報の信頼性を判定する。なお、リンクとは、地理ネットワーク上の地点間を結んだものである。
[0018]
これにより、投稿情報に対する評価投稿が得られない場合でも、ユーザの移動実績を用いることで信頼性の判定を行うことができる。
[0019]
ここで、経路条件とは、経路の特定の状態を意味し、経路の種別や、段差、縦断勾配、幅員等のアクセシビリティ情報を構成する各情報から構成されるものである。
[0020]
例えば、
経路条件a: 平坦、段差2cm以下、縦断勾配5%以下、幅員1m以上、…
経路条件b: 階段、段差16cm以上、縦断勾配5%以上、幅員1m以下、…
のように、経路の特定の状態を経路条件a、経路条件bとして表すものである。
[0021]
<本実施形態の投稿情報信頼度判定装置の構成>
[0022]
図3は、本実施形態の投稿情報信頼度判定装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
[0023]
図3に示すように、投稿情報信頼度判定装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
[0024]
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12又はストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12又はストレージ14に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12又はストレージ14には、移動実績を収集するための移動実績収集プログラム、及び入力された投稿情報の信頼度を判定するための投稿情報信頼度判定プログラムが格納されている。
[0025]
ROM12は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
[0026]
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
[0027]
表示部16は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
[0028]
通信インタフェース17は、ユーザが携帯する携帯端末や調査員が携帯する地図調査支援装置などの他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
[0029]
本実施の形態における入力は、ユーザが携帯する携帯端末から送信された、GPS等で測位された位置情報を含む各種情報と、調査員が携帯する地図調査支援装置から送信された、上記図1に示すような投稿情報とである。ユーザが携帯する携帯端末から送信される情報には、当該ユーザの移動手段が、自走車椅子、介助あり車椅子、ベビーカーを利用するユーザ、及び健常者等の何れであるかを示す情報を含む。
[0030]
投稿情報は、地理ネットワーク上のリンクを識別する情報と、当該リンクの通行に関する情報とを含み、当該リンクの通行に関する情報は、経路の種別と、段差、縦断勾配、幅員等のアクセシビリティ情報とを含む。
[0031]
次に、投稿情報信頼度判定装置10の機能構成について説明する。
[0032]
図4は、投稿情報信頼度判定装置の機能構成の例を示すブロック図である。
[0033]
図4に示すように、投稿情報信頼度判定装置10は、機能構成として、移動実績収集部20、投稿情報信頼度判定部30、投稿情報データベース42、移動実績データベース44、移動特徴データベース46、アクセシビリティ情報データベース48、及び移動コストデータベース50を有する。各機能構成は、CPU11がROM12又はストレージ14に記憶された移動実績収集プログラム及び投稿情報信頼度判定プログラムを読み出し、RAM13に展開して実行することにより実現される。
[0034]
移動実績収集部20は、ユーザ毎に、地理ネットワーク上の各リンクについて、当該リンクを通行したときの移動実績を収集し、当該ユーザについて収集した移動実績から得られる移動特徴を抽出する。
[0035]
具体的には、移動実績収集部20は、移動手段設定受付部22と、移動実績収集部24と、移動特徴算出部26とを備えている。
[0036]
移動手段設定受付部22は、移動実績を収集するにあたり、ユーザが移動を行う際の「移動手段」の設定を受け付ける。
[0037]
移動手段を設定する際には、ユーザが、携帯端末において、図5に示すように、移動実績の収集を行う際の移動手段を、移動手段リストから一つ選択し、選択結果が、携帯端末から投稿情報信頼度判定装置10に送信される。移動手段リストとして、図6に示すようなリストが、投稿情報信頼度判定装置10側で保持されている。ユーザは、例えば、自走車椅子、介助あり車椅子、ベビーカーユーザ、健常者等の移動手段から1つを選択する。
[0038]
さらに、ユーザが、携帯端末において、GPS等位置情報の取得を許可する設定を行うことで、ユーザが移動中の位置情報による移動軌跡を収集できるようにする(図5参照)。
[0039]
移動実績収集部24は、GPS等位置情報を用いて、ユーザの移動軌跡を求め、ユーザの移動軌跡から、ユーザが通行したリンクの移動可否実績を収集する。移動実績収集部24は、当該リンクが移動可能であった場合に、通行に必要とした移動時間を移動実績として収集し、収集した移動可否実績及び移動実績を、移動実績データベース44に登録する(図7参照)。
[0040]
例えば、移動実績収集部24は、GPS等位置情報を用いて求めた移動軌跡について、図8に示すように、地理ネットワーク上のリンク及びノードとのマップマッチングを行い、移動可能であったリンク、移動不可であったリンク、及び各リンクの移動時間を抽出する。
[0041]
移動特徴算出部26は、信頼度の高いアクセシビリティ情報が付与された地理ネットワーク上の各リンクに対して、あるユーザが、当該リンクを通過した際の移動速度を抽出する。移動特徴算出部26は、地理ネットワーク上の各リンクに対する、各ユーザの移動速度に基づいて、特定の経路条件下において移動手段毎におおよそどの程度の時間がかかるのかを示す情報として移動速度を抽出する。
[0042]
具体的には、まず、アクセシビリティ情報データベース48から、図9に示すような、信頼度の高いアクセシビリティ情報を取得し、移動実績データベース44から、信頼度の高いアクセシビリティ情報が付与されたリンクについて、各ユーザの実際の移動時間を抽出する。
[0043]
そして、アクセシビリティ情報に含まれるリンクのアクセシビリティ情報には、共通する経路条件が存在すると考えられるため、各リンクに、経路条件J1,J2,J3,・・・を設定する。このとき、経路探索の際に用いる、経路条件ごとに付与された移動コストを格納した移動コストデータベース50に含まれる各経路条件を用いてもよい(図10参照)。なお、移動コストデータベース50がないときには、アクセシビリティ情報を構成する各情報を、例えば人手で組み合わせて、経路条件J1,J2,J3,・・・を設定することにより、経路条件リストを作成してもよい。
[0044]
そして、図11に示すように、ユーザiごとに、経路条件の各々について、移動手段Ciでの移動可否を求めると共に、移動時間とリンクの長さとから、移動手段Ciでリンクを移動するときの平均移動速度を算出し、移動特徴データベース46に格納する。
[0045]
投稿情報信頼度判定部30は、受け付けたリンクに関する投稿情報について、移動手段毎に、当該リンクを当該移動手段で通行したときの移動実績から得られる移動特徴と、投稿情報から得られる当該移動手段の移動特徴とを比較して、投稿情報の信頼度を判定する。
[0046]
具体的には、投稿情報信頼度判定部30は、投稿受付部32、移動可否信頼度算出部34、移動速度信頼度算出部36、信頼度出力部38、及び登録部40を備えている。
[0047]
投稿受付部32は、調査員が携帯する地図調査支援装置の情報投稿手段によって投稿された投稿情報を受け付け、図12に示すように、投稿情報データベース42に登録する。
[0048]
調査員が携帯する地図調査支援装置の情報投稿手段では、図13に示すように、調査員が移動しながら地図上の地物及び経路について調査を行なった調査結果を、地理ネットワークに紐づけて投稿する。なお、情報投稿手段の詳細については特開2017-102279の記載の手法と同様であるため、説明を省略する。
[0049]
次に、移動可否信頼度算出部34による信頼度の算出原理について説明する。
[0050]
各移動手段において、確実に通行できない経路条件が存在する。例えば、移動手段(車いす)は経路条件(階段)を通行することができない。このような各移動手段の経路条件における移動可否の情報(図14)を、「移動可否情報」として移動実績データベース44に保持する。また、図15に示すように、投稿情報に該当する経路条件から移動可否情報を得る。そして、投稿情報に該当する経路条件から得られる移動可否情報と、実際の移動実績から得られる移動可否情報とを比較することで投稿情報の信頼度を判定する。
[0051]
例えば、あるリンクKについての投稿情報Tから得られる経路条件Jが、移動特徴データベース46の移動可否情報より、移動手段Cにおいて移動不可である場合に、移動実績データベース44において移動手段Cでの移動実績があれば、投稿情報Tの信頼性は低いことがわかる(図16参照)。
[0052]
そこで、本実施の形態では、移動可否信頼度算出部34は、以下のように、移動可否を用いた信頼度判定を行う。
[0053]
まず、リンクKについての投稿情報Tから得られる経路条件Jについて、移動特徴データベース46から、各移動手段(i)の経路条件Jにおける移動特徴(移動可否情報)Hiを抽出する。
[0054]
次に、移動実績データベース44から、リンクKにおける各移動手段(i)の移動実績(移動可否情報)Ziを抽出する。移動実績が複数ある場合は、各ユーザ(m)毎の移動実績(移動可否情報)Zi(m)を抽出する。
[0055]
そして、信頼度Q1を、例えば以下の式で求める。
信頼度Q1=Σ|Hi-Zi(m)|/n
[0056]
上記の式では、i=(車椅子,徒歩,介助あり車椅子・・・・),m=(1,2,…n)の全ての組み合わせについて、移動特徴である移動可否情報と移動実績である移動可否情報との差の絶対値を計算し、計算した差の絶対値の平均値を、信頼度Q1として求めている。
[0057]
次に、移動速度信頼度算出部36による信頼度の算出原理について説明する。
[0058]
移動速度信頼度算出部36では、移動速度を基にした信頼度判定を行う。
[0059]
例えば、リンクK1,K2がある場合、2つの経路条件が全く同じであれば、ユーザUがリンクK1,K2を通行する際の移動速度は同様であると考えられる。
[0060]
逆に、リンクK1が平坦な道、リンク2が階段といったように、経路条件が全く異なる場合には、ユーザUがリンクK1,K2を通行する際の移動速度が異なると考えられる。
[0061]
ここでは、リンクKにおいて、ユーザUが、投稿情報Tから得られる経路条件Jを移動する場合の移動速度Yと、ユーザUが、リンクKを実際に移動した移動実績から得られる移動速度Zと、を比較する。YとZに乖離がない場合は、投稿情報TがリンクKの状態を正しく調査した情報であるとして投稿情報の信頼度Q2が高いと判断し、逆に、YとZに大きく乖離がある場合は、投稿情報Tの信頼度Q2が低いと判断する。
[0062]
そこで、本実施の形態では、移動速度信頼度算出部36は、以下のように、移動速度を用いた信頼度判定を行う。
[0063]
まず、リンクKについての投稿情報Tにおける、経路条件Jを抽出する。次に、移動実績データベース44から、リンクKの移動実績のあるユーザiを抽出する。移動特徴データベース46から、ユーザiの経路条件Jにおける移動速度Yiを抽出する。
[0064]
次に、移動実績データベース44の移動実績から、リンクKを通行した際のユーザiの移動速度Ziを求める。以下の式に従って、移動速度Yiと、移動速度Ziとのすべての差分の平均を信頼度Q2として計算する。
信頼度Q2=Σ(Yi-Zi)/n
[0065]
ただし、i=(1,2,3,…n)であり、nは、リンクKの移動実績のユーザの総数である。
[0066]
信頼度出力部38は、移動可否信頼度算出部34で算出された、移動可否による信頼度Q1と、移動速度信頼度算出部36で算出された、移動速度をもとにした信頼度Q2を用いて、信頼度の判定を行う。
[0067]
ここで、信頼度Q1、Q2ともに低い値であればあるほど、投稿情報Tに対する信頼度が高いということが言える。
[0068]
そこで、本実施の形態では、信頼度出力部38は、信頼度Sを、例えば以下の式に従って求める。
S=a*Q1+b*Q2
[0070]
また、信頼度出力部38は、上記で求められた投稿情報Tに対する信頼度Sが閾値K以下の場合に信頼できると判定し、信頼度Sが閾値Kより大きい場合に信頼できないと判定し、判定結果を出力する。
[0071]
登録部40は、図17に示すように、信頼度出力部38により信頼できると判定された投稿情報Tに基づいて、当該リンクKのアクセシビリティ情報を登録する。
[0072]
<本実施形態の投稿情報信頼度判定装置の作用>
次に、投稿情報信頼度判定装置10の作用について説明する。
[0073]
図18は、投稿情報信頼度判定装置10による移動実績収集処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から移動実績収集プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、移動実績収集処理が行なわれる。
[0074]
ステップS100において、CPU11は、移動手段設定受付部22として、ユーザ毎に、当該ユーザが移動を行う際の「移動手段」の設定を受け付ける。
[0075]
ステップS102において、CPU11は、移動実績収集部24として、ユーザ毎に、GPS等位置情報を用いて、当該ユーザの移動軌跡を求め、当該ユーザの移動軌跡から、当該ユーザが通行したリンクの移動可否実績を収集する。また、CPU11は、当該リンクが移動可能であった場合に、通行に必要とした移動時間を移動実績として収集し、収集した移動可否実績及び移動実績を、移動実績データベース44に登録する。
[0076]
ステップS104において、CPU11は、移動特徴算出部26として、信頼度の高いアクセシビリティ情報が付与された地理ネットワーク上の各リンクに対して、ユーザ毎に、当該リンクを通過した際の移動速度、及び移動可否情報を抽出する。CPU11は、移動特徴算出部26として、地理ネットワーク上の各リンクに対する、各ユーザの移動可否実績に基づいて、ユーザ毎に、特定の経路条件下において、当該ユーザの移動手段での移動可否情報を、移動特徴データベース46に登録する。また、CPU11は、移動特徴算出部26として、地理ネットワーク上の各リンクに対する、各ユーザの移動速度に基づいて、ユーザ毎に、特定の経路条件下において、当該ユーザの移動手段での移動速度を抽出し、移動特徴データベース46に登録する。
[0077]
図19は、投稿情報信頼度判定装置10による投稿情報信頼度判定処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から投稿情報信頼度判定プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、投稿情報信頼度判定処理が行なわれる。
[0078]
ステップS110において、CPU11は、投稿受付部32として、地図調査支援装置の情報投稿手段によって投稿された、リンクKについての投稿情報Tを受け付ける。
[0079]
ステップS112において、CPU11は、移動可否信頼度算出部34として、リンクKについての投稿情報Tから得られる経路条件Jについて、移動特徴データベース46から得られる、各移動手段(i)の経路条件Jにおける移動可否情報と、移動実績データベース44から得られる、リンクKにおける各移動手段の移動実績とに基づいて、移動可否を用いた信頼度Q1を算出する。
[0080]
ステップS114において、CPU11は、移動速度信頼度算出部36として、移動特徴データベース46から得られる、リンクKの移動実績があるユーザiの、経路条件Jにおける移動速度と、移動実績データベース44から得られる、ユーザiがリンクKを通行した際の移動速度とに基づいて、移動速度を用いた信頼度Q2を算出する。
[0081]
ステップS116において、CPU11は、信頼度出力部38として、移動可否信頼度算出部34で算出された、移動可否による信頼度Q1と、移動速度信頼度算出部36で算出された、移動速度を基にした信頼度Q2を用いて、投稿情報Tに対する信頼度Sを算出する。
[0082]
ステップS118において、CPU11は、信頼度出力部38として、算出された信頼度Sに基づいて、投稿情報Tが信頼できるか否かを判定する。投稿情報Tが信頼できないと判定された場合には、投稿情報信頼度判定処理を終了する。一方、投稿情報Tが信頼できると判定された場合には、ステップS120へ移行する。
[0083]
ステップS120では、CPU11は、登録部40として、信頼度出力部38により信頼できると判定された投稿情報Tに基づいて、当該リンクKのアクセシビリティ情報を登録し、投稿情報信頼度判定処理を終了する。
[0084]
以上説明したように、本開示の技術の実施形態の投稿情報信頼度判定装置10は、地理ネットワーク上の地点間を結ぶリンクについての通行に関する情報を含む投稿情報の入力を受け付け、当該リンクの移動実績から得られる移動特徴と、投稿情報から得られる移動特徴とを比較して、前記投稿情報の信頼度を判定する。これにより、簡易に、リンクの通行に関する投稿情報の信頼度を判定することができる。特に、地図情報調査支援装置において調査員から投稿された投稿情報の信頼度を判定する際に、投稿者以外のユーザからの評価の投稿が得られないような場合でも、他のユーザの移動実績情報を用いることで投稿情報の信頼度を判定することができる。
[0085]
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した移動実績収集処理及び投稿情報信頼度判定処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、移動実績収集処理及び投稿情報信頼度判定処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
[0086]
また、上記各実施形態では、移動実績収集プログラム及び投稿情報信頼度判定プログラムがストレージ14に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記憶媒体に記憶された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
[0087]
また、投稿情報データベース42、移動実績データベース44、移動特徴データベース46、アクセシビリティ情報データベース48、及び移動コストデータベース50が、投稿情報信頼度判定装置10内にある場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。投稿情報データベース42、移動実績データベース44、移動特徴データベース46、アクセシビリティ情報データベース48、及び移動コストデータベース50の少なくとも1つが、投稿情報信頼度判定装置10の外部にあってもよい。
[0088]
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
[0089]
(付記項1)
メモリと、
前記メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサと、
を含み、
前記プロセッサは、
地理ネットワーク上の地点間を結ぶリンクについての通行に関する情報を含む投稿情報の入力を受け付け、
前記地理ネットワーク上の各リンクについて予め求められた、前記リンクを通行したときの移動実績から得られる移動特徴と、前記投稿情報から得られる移動特徴とを比較して、前記投稿情報の信頼度を判定する、
ように構成されている投稿情報信頼度判定装置。
[0090]
(付記項2)
投稿情報信頼度判定処理を実行するようにコンピュータによって実行可能なプログラムを記憶した非一時的記憶媒体であって、
前記投稿情報信頼度判定処理は、
地理ネットワーク上の地点間を結ぶリンクについての通行に関する情報を含む投稿情報の入力を受け付け、
前記地理ネットワーク上の各リンクについて予め求められた、前記リンクを通行したときの移動実績から得られる移動特徴と、前記投稿情報から得られる移動特徴とを比較して、前記投稿情報の信頼度を判定する、
非一時的記憶媒体。
請求の範囲
[請求項1]
地理ネットワーク上の地点間を結ぶリンクについての通行に関する情報を含む投稿情報の入力を受け付ける入力部と、
前記地理ネットワーク上の各リンクについて予め求められた、前記リンクを通行したときの移動実績から得られる移動特徴と、前記投稿情報から得られる移動特徴とを比較して、前記投稿情報の信頼度を判定する投稿情報信頼度判定部と、
を含む投稿情報信頼度判定装置。
[請求項2]
前記投稿情報信頼度判定部は、リンクに関する複数の経路条件毎に予め定めた移動可否から、前記投稿情報に該当する前記経路条件での移動可否を前記移動特徴として取得し、前記リンクを通行したときの移動実績から得られる、前記移動特徴としての移動可否と比較することにより、前記投稿情報の信頼度を判定する請求項1記載の投稿情報信頼度判定装置。
[請求項3]
前記投稿情報信頼度判定部は、リンクに関する複数の経路条件毎に予め定めた移動速度から、前記投稿情報に該当する前記経路条件での移動速度を前記移動特徴として取得し、前記リンクを通行したときの移動実績から得られる、前記移動特徴としての移動速度と比較することにより、前記投稿情報の信頼度を判定する請求項1又は請求項2記載の投稿情報信頼度判定装置。
[請求項4]
前記移動実績から得られる移動特徴は、移動手段毎に、前記移動手段で通行したときの移動実績から得られる移動特徴であり、
前記投稿情報から得られる移動特徴は、前記移動手段毎の、リンクに関する複数の経路条件のうちの前記投稿情報に該当する経路条件及び前記移動手段での移動特徴であり、
前記投稿情報信頼度判定部は、
前記移動手段毎に、前記リンクを前記移動手段で通行したときの移動実績から得られる移動特徴と、前記投稿情報から得られる前記移動手段の前記移動特徴とを比較して、前記投稿情報の信頼度を判定する請求項1~請求項3の何れか1項記載の投稿情報信頼度判定装置。
[請求項5]
前記投稿情報信頼度判定部は、更に、前記判定された信頼度が閾値以上となる前記投稿情報に含まれる前記通行に関する情報を、前記地理ネットワーク上の各リンクについての通行に関する情報に登録する請求項1~請求項4の何れか1項記載の投稿情報信頼度判定装置。
[請求項6]
入力部が、地理ネットワーク上の地点間を結ぶリンクについての通行に関する情報を含む投稿情報の入力を受け付け、
投稿情報信頼度判定部が、前記地理ネットワーク上の各リンクについて予め求められた、前記リンクを通行したときの移動実績から得られる移動特徴と、前記投稿情報から得られる移動特徴とを比較して、前記投稿情報の信頼度を判定する、
投稿情報信頼度判定方法。
[請求項7]
地理ネットワーク上の地点間を結ぶリンクについての通行に関する情報を含む投稿情報の入力を受け付け、
前記地理ネットワーク上の各リンクについて予め求められた、前記リンクを通行したときの移動実績から得られる移動特徴と、前記投稿情報から得られる移動特徴とを比較して、前記投稿情報の信頼度を判定する、
処理をコンピュータに実行させるための投稿情報信頼度判定プログラム。
図面